関西花の寺二十五ヵ所
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第24番 子安地蔵寺

境内が甘い香りに包まれる「フジの寺」

子安地蔵寺 のどかな田園の少し高みに、フジの名所で有名な子安地蔵寺がたたずむ。4月下旬から5月上旬、この寺は一面フジの花で覆われる。白や紫のフジに導かれて、城を思わせる長屋門をくぐると、目の前には紫のフジの花房が天から降り注いだかのように無数にしだれる。この大きなフジ棚で感動するのはまだ早い。

 すぐ前の本堂の左右に、本堂より一段下がった庭園に、休憩所の脇にと、ほとんど隙間がないほどフジの花が咲いている。花房が長い九尺藤、少し赤味を帯びた紫色の赤長藤、純白の白カピタン、花色が濃い紫カピタン、濃紫色で八重の八重黒龍など8品種・28本ほどのフジが、棚や立木に仕立てられ、甘い香りを漂わせている。

 その花景色はまるで仏様の上にかざす天蓋。それとも寺全体を本尊の地蔵菩薩に見立ててフジの瓔珞(ようらく)か……。
 この時期、境内にはツツジやコデマリが花盛り。無数のクリスマスローズやミヤコワスレがフジの足元を飾り立て、ケマンソウやエビネランなどの愛らしい花々も彩りを添える。

安産祈願所として参拝客が絶えない

子安地蔵寺 子安地蔵寺は天平9年(737)、行基によって開かれた古刹で、本尊は行基の手彫りと伝わる地蔵菩薩。安産守護にあらたかな霊験があるところから子安地蔵と呼ばれ、織田信長の高野山攻めの兵火にも本尊だけは難をのがれたという。江戸時代前期、紀州初代藩主徳川頼宣により再興され、以後、紀州徳川家の安産祈願の寺として篤い信仰を集めてきた。

秋の山野草などが楚々と咲く和やかな寺

子安地蔵寺 子安地蔵寺の花暦は、春のツバキと桜で始まる。華麗なフジの季節が終わると、サツキやアジサイが咲き継ぎ、秋になるとキンモクセイが芳香を放つ。また、ハギなど秋の山野草も楚々として情趣を誘う。

 そして、境内から花々の彩りがなくなった冬、サザンカがそこかしこに咲き、安産を願う参拝客を温かく迎える。

 この寺は安産祈願所だけあって、境内の雰囲気も花々も、優しく、そして和やかである。
 

ギャラリー

第24番 易産山 子安地蔵寺(こやすじぞうじ)

住  所
電  話
U R L
宗  派
ご 本 尊
拝  観
料  金
交  通

隣接霊場

和歌山県橋本市菖蒲谷94
0736-32-1774
http://hananotera.com/
高野山真言宗
地蔵菩薩
8~17時(冬季は9〜16時)
300円
電車=南海高野線御幸辻駅から徒歩25分。またはJR和歌山線橋本駅からタクシー15分
車=阪和道美原北ICから南へ約30㎞、P120台 (シーズン中のみ300円)
車で観心寺25分、金剛寺30分


花ごよみ

フジ8種・ヒラドツツジ
秋の山野草
サザンカ
クリスマスローズ・ツバキ
春の山野草

4月下旬〜5月上旬
10月上旬〜11月下旬
12月上旬〜
2月上旬〜
3月下旬〜4月上旬


主な行事

初地蔵法要
地蔵盆

1月24日
8月24日


周辺の見所

    高野街道 大阪・堺から高野山への参拝道。往時の常夜燈や本陣などが今も残る。車で15分。
    恋し野の里 中将姫ゆかりの旧跡などを巡るハイキングコースが整備され、6月にはあじさい園のアジサイが見頃を迎える。車で30分。電話0736-33-3552 (橋本市観光案内所)
    やっちょん広場 新鮮で安全な地場農産物や加工品を販売。車で14分。9〜18時(10〜3月は17時)、水曜休 電話0736-33-2500

子安地蔵寺周辺マップ

2012年9月24日 |カテゴリー: | タグ: , , , , , ,
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第22番 船宿寺

船宿寺

神話のふるさと、葛城にたたずむ古刹

船宿寺 奈良盆地の風の通り道といわれる風の森峠。その北の船路(ふなじ)集落に船宿寺がある。寺の始まりは奈良時代の神亀年間、船形の大磐石の傍らに行基が庵を結び、薬師如来を祀ったことからと伝わる。

 山裾の高みに位置するため、その昔、葛城山と呼ばれていた金剛山が一望のもと。そこは天孫降臨の台地、高天ヶ原がある神話のふるさと。また大和朝廷よりも前に栄えていたという葛城王朝ゆかりの地。そんな神さびたロマンあふれる山里に、船宿寺はある。

ツツジの大刈り込みで埋まる「ツツジ寺」

船宿寺 船宿寺はツツジの名所として知られている。山門までの緩い坂道の両側にツツジの刈り込みが連なり、山門に入ると大小の刈り込みで境内が埋め尽くされ、一段高みにある本堂まで続く。さらに、庫裡の裏にもツツジ園があり、江戸中期に造られた遠州流奥庭にはサツキの丸い刈り込みが美しく配されている。

 4月下旬からキリシマ系がひと足先に花開き、ヒラド系が咲き継ぐ。そして5月下旬から6月上旬のサツキまで、約3ヵ月間、船宿寺は赤紫や朱、ピンク、白などの花の波が打ち寄せ、まさにツツジの花浄土となる。

境内の奥は深く、シャクナゲやオオデマリも圧巻

船宿寺 新緑に包まれるシャクナゲ 船宿寺は樹影濃い山を背負うようにしてたたずむ。「昔は裏山に自生のフジが咲き、山全体を薄紫に染めて、それは見事でした」。でも、フジのつるは巻きついて木々をだめにしてしまうのだそうだ。「フジか樹木か、どちらを生かすべきか里の人と相談して樹木の方を選びました」と菅原正光住職は言う。

 境内は、そんな深々とした山側にまで広がり、林の奥には「しゃくなげ園」がある。ツツジやボタンが咲く5月上旬、シャクナゲも静かに見頃を迎え、せせらぎにはひっそりと自生のワサビの花が咲いている。 夏にはホタルが舞うという。赤や黄色の紅葉が常緑の木々に映える錦秋も見逃せない。

 「毎朝掃除をしていると自然界の不思議さを感じます。西日に弱いモミジやツバキは幹を守るため西日が当たる方に枝を伸ばしたり、蝶になる青虫は毒の葉を食べて身を守っていたり」と住職は自然を慈しむ眼差しで話す。
 また、ツツジが花盛りの頃には、白い小さな手毬のような花がこぼれんばかりに咲くオオデマリを、船路の集落のそこかしこで見かけるはずだ。それらはみんな船宿寺の境内の大株をさし木にしたもので、これからも増やしてゆく予定だそうだ。船路の集落が「オオデマリの里」になる日は近いことだろう。

ギャラリー

第22番 醫王山 船宿寺(せんしゅくじ)

住  所
電  話
宗  派
ご 本 尊
拝  観
料  金
交  通


隣接霊場

奈良県御所市五百家484
0745-66-0036
高野山真言宗
薬師如来
8~17時
300円
電車=近鉄南大阪線御所駅からバス20分、船路下車徒歩10分
車=西名阪道法隆寺ICから南へ約20㎞または南阪奈道葛城ICから南へ約10㎞、
  P15台(花の季節は50台)
車で金剛寺25分、當麻寺西南院30分、石光寺30分


花ごよみ

ボタン・シバザクラ
ヒラドツツジ・オオデマリ
シャクナゲ
ヤマボウシ
サツキ
サルスベリ
紅葉
サザンカ
寒ツバキ・ロウバイ
ツバキ
サクラ

4月上旬~
4月下旬~5月上旬
5月上旬~
5月中旬~
5月下旬~6月上旬
8月上旬~
11月上旬~11月下旬
12月上旬~
1月上旬~
3月上旬~
3月下旬~4月上旬


主な行事

本尊会
花供養法要

1月8日
5月3日


周辺の見所

    高鴨神社 古代豪族鴨氏の氏社で、京都の上賀茂・下鴨神社の総社にあたる。重要文化財の本殿は流れ造り檜皮葺き、唐破風付き。4月下旬~5月下旬頃には、約2,300鉢のサクラソウが咲く。車で5分。
    葛城古道 大和朝廷の前に栄えた葛城王朝の頃の幹道で、9月半ばにはヒガンバナが真っ赤に燃える。風の森峠から六地蔵までおよそ12㎞のハイキングコースになっている。周辺には古社寺も多数。 電話0745-62-3346(御所市観光協会)
    名柄の集落 葛城古道の途中に残る古い町並みで、ひときわ目をひくのが江戸初期建築、重要文化財の中村家住宅(内部は非公開)。車で10分。
    かもきみの湯 源泉を100%使用した源泉風呂をはじめ、バラエティに富んだ湯船がそろう。心身疲労に効果が高い。徒歩5分。10~23時、500円、無休 電話0745-66-2641

船宿寺周辺マップ



第19番 長岳寺

長岳寺

山の辺の道沿いにある「ツツジ寺」

 日本最古の官道として知られる山の辺の道沿いに、背後の山と一体化したような樹影濃い長岳寺がある。1万2000坪の広い境内は森閑とした空気に包まれ、葉擦れの音にすら驚かされる。

長岳寺 この寺が最も華やぐのは、若葉輝く4月下旬から5月上旬だ。数多くのヒラドツツジが花開き、あたり一面を花色に染めるのである。

 参道には、大人の背丈をはるかに超えたヒラドツツジが隙間なく連なり、壮観の極みだ。花の道は、寺と共に歴史を刻んだ日本最古の鐘楼門(重文)へ、さらに江戸時代再建の本堂へ導く。本尊は、西方かなた十万億土に極楽世界をひらいて、末法の世に生まれた私たちを救って下さる阿弥陀如来(重文)。高さ3m以上はある巨大なヒラドツツジが本堂を飾り立て、目の前の放生池もツツジの花で縁取られる。本堂から境内を見渡すと、そこは赤紫の花浄土。

 ツツジは約1000株といわれているが、とても数え切れる数ではない。照葉樹林、特にシイノキが多いので、花が咲くと全山黄緑色になり、花粉で境内全体が霞むという。「ぐるっと取り巻く山の気と自然も感じとって下さい」と、関西花の寺二十五ヶ所霊場会会長の北川慈照住職は言う。

山も境内も季節の彩りを映しこむ

長岳寺 ヒラドツツジが咲き始める頃、境内の八重桜は名残の花。また数多いソメイヨシノはすっかり葉桜だ。ツツジが終わりかけの頃、放生池では濃紫色の品のいいカキツバタが花を開き始め、ツツジとの競演を見せてくれる。梅雨になるとアジサイが日毎に色を重ね、初秋にはスイフヨウが咲く。白い花が昼頃から徐々に紅をさし、夕方から夜にかけて紅色になる艶めく花だ。

 秋が深まると、ヒラドツツジの華やぎを思い出させるような鮮やかな紅葉の景色となる。黄赤や緋色が燃え立ち、一年の彩りのフィナーレを飾る。

千年の長きに渡り法燈を守る「釜の口大師」

長岳寺
 長岳寺は天長元年(824)、淳和天皇の勅願で弘法大師が創建したと伝わる。釜の口山という山号から「釜の口のお大師さま」と呼ばれている。文化財が多く、鐘楼門、庫裡として使われ三輪そうめんを食せる旧地蔵院、旧地蔵院本堂、また本尊の阿弥陀三尊などは重要文化財。

 さらに桃山時代の狩野山楽筆の大地獄絵図は圧巻。
 

ギャラリー

第十九番 釜の口山 長岳寺(ちょうがくじ)

住  所
電  話
U R L
宗  派
ご 本 尊
拝  観
料  金
交  通


隣接霊場
そ の 他

奈良県天理市柳本町508
0743-66-1051
http://www.chogakuji.or.jp/
高野山真言宗
阿弥陀三尊
9~17時
350円
電車=JRまたは近鉄天理駅または桜井駅からバス15分、上長岡下車徒歩5分。
   またはJR柳本駅から徒歩20分
車=西名阪道天理ICからR169を南へ約6㎞、P30台
車で白毫寺40分、石光寺40分、當麻寺西南院40分
重要文化財の庫裡では、名物の三輪そうめん (700円)を味わうことができる。冬は暖かいにゅうめんになる。


花ごよみ

ヒラドツツジ
カキツバタ・オオデマリ
アジサイ・サツキ
スイフヨウ
紅葉

4月下旬~5月上旬
5月上旬~
月上旬~
9月中旬~
11月中旬~


主な行事

釜の口れんぞ
大地獄絵開帳

4月21日
10月23日~11月30日


周辺の見所

    山の辺の道 『日本書紀』に記された日本最古の道。石上神宮から大神神社まで約13㎞のハイキングコースになっていて、長岳寺はコース途中に位置している。徒歩1分。
    石上神宮:万葉集にもうたわれた古社で、神武天皇東征のときに力があったという神剣・布都御魂大神を主祭神とし、物部氏が奉祀。軍事を司った物部氏の武器庫であったとの記録もある。拝殿は京都の宇治上神社と並び非常に古いもの。境内自由。車で15分。
    崇神天皇陵全長240mの巨大な前方後円墳。周囲に堀をめぐらし、松と白砂のコントラストが美しい。周辺にはこの他にも古墳が点在し、古代ロマンに誘われる。徒歩10分。

長岳寺周辺マップ

2012年9月23日 |カテゴリー: | タグ: , , , , , ,
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第12番 久安寺

久安寺

密教の曼荼羅浄土にボタンが絢爛と咲く

 「軒反り」という稀有な技法による美しい楼門(国・重文)から、北へ350m、真っ直ぐに参道がのびる。その東側に薬師堂、西側に本堂と阿弥陀如来坐像や薬師如来立像、釈迦涅槃図などを祀る阿弥陀堂があり、四方四仏の曼荼羅に整えられている。

久安寺 さらに、それらの北側には虚空園が広がる。両果(りょうが)の道と呼ばれる参道の東にカエデが生い茂るア字山(生命)、西にバン字(心)池を配し、瞑想する仏の世界を具現化している。

 4月下旬から5月上旬にかけて、バン字池の周辺にはボタンが次から次と花びらをほどき、虚空園を鮮やかに輝かせる。それは、まさに典雅の華に彩られた西方浄土。

 そしてアジサイの植込みが続く参道を進むと、6.4mもの涅槃像を祀る舎利殿涅槃堂である。
 山々を背後にした1万坪に及ぶ久安寺は全域が密教教学の曼荼羅思想による庭になっており、ここに身を置くことで即身に仏性の花が咲くのである。

秀吉とのゆかりもある観光修行道場

久安寺 久安寺は、神亀2年(725)に行基菩薩が開創し、天長年間に弘法大師が再興したと伝わる安養寺を前身とする。久安1年(1145)に近衛天皇の勅願寺となり、久安寺と号するようになった。

 豊臣秀吉が参拝の折に、三光神を祀り、月見茶会も楽しんだといわれる。境内にある参拝記念植樹のカヤの大樹や秀吉腰掛石などが、その歴史を語り継いでいる。
現在、久安寺では一般の人々の仏教徒修行を盛んに行なっている。静けさと緑の気の中で拝み、拝まれる修行道場である。

日本有数の植木産地に位置する「花の寺」

久安寺 摂丹街道(国道423号線)を北へ行き、久安寺を目指していると道路の両側に植木や花卉栽培の畑が目立ってくる。この辺りは日本有数の植木産地である細河地域だ。16世紀初めには既にボタンが大規模に栽培され、江戸時代には各藩大名に親しまれることになってブームがおきたと伝わる。

 こんな土地柄ゆえ、久安寺には境内の環境によく合った草木が数多く植え込まれ、季節ごとに見事な花景色を披露する。ロウバイやサンシュが花暦の1ページ目を飾り、桜、モクレン、ヤマブキなどが仲春を謳う。ボタンとヒラドツツジの花群れが終わると、何種類ものアジサイが境内のそこかしこを青や紫に染める。そして、紅葉の季節、参道は燃え立つ回廊となる。

ギャラリー

第12番 大澤山 久安寺(きゅうあんじ)

住  所
電  話
U R L
宗  派
ご 本 尊
拝  観
料  金
交  通

隣接霊場

大阪府池田市伏尾町697
072-752-1857
http://www.kyuanji.jp/
真言宗
千手観音(秘仏)拝観
9~16時
300円
電車=阪急宝塚線池田駅から5km、バス15分、久安寺下車すぐ
車=中国道池田ICから北東へ約6㎞、または阪神高速木部第1出口から3㎞、P50台
車で法金剛院60分、永澤寺100分


花ごよみ

サクラ
ボタン
シャクナゲ・ヒラドツツジ・オオヤマレンゲ
スイレン
アジサイ・ショウブ・サラ
ハス
スイフヨウ
ヤブラン・コスモス
ツワブキ
紅葉
サザンカ・センリョウ
ロウバイ
ツバキ
サンシュユ

4月上旬~
4月下旬~
5月上旬~
6月上旬~
6月中旬~
7月上旬~8月下旬
8月下旬~9月上旬
9月上旬~
11月上旬~
11月下旬~12月上旬
1月上旬~
1月下旬~2月上旬
2月上旬~3月下旬
3月下旬


主な行事

花供養会(ぼたん中心)
もみじまつり
もみじ茶会
除夜の鐘

4月29日
11月第3日曜
11月23日
12月31日


周辺の見所

    池田城跡公園 戦国の歴史を今に伝える。遺構復元コーナーもある。車で10分、9~17時(4~8月は19時)、火曜休、無料 電話072-753-2767
    水月公園 梅園、ショウブ園が見事。ショウブの見頃は5月下旬~6月上旬。車で10分。 電話072-762-7532
    五月山公園 五月山の山麓から中腹にかけて広がり、ハイキングコース、展望台などがある。動物園や植物園も整備されている。大阪みどりの百選に選定。車で12分。 電話072-751-1005
    箕面公園 紅葉と滝で有名。都市近郊でありながら貴重な自然の宝庫として知られる。車で20分。 電話072-721-3014

久安寺周辺マップ



第7番 如意寺

如意寺

ミツバツツジの花越しに青い内湾を望む

 丹後半島の西の付け根に位置し、複雑に入り組んだ久美浜湾は、まるで湖のように穏やかだ。如意寺の山門は、その静かな波打ち際に近く、境内は樹影濃い谷あいまで続いている。山あいや山里の寺が多い関西花の寺二十五ヶ所のなかで、如意寺だけが海沿いの寺である。

如意寺 この寺が一年で最も華やぐのが、ミツバツツジの見頃の4月上旬から中旬。山の斜面はミツバツツジの花群れで埋め尽くされ、一帯は赤紫色に染まる。約10分の山道、「回遊散策道」は花のトンネルと化し、花枝越しには不動堂、その先に真っ青な海、さらに夏の大文字焼で知られる兜山が見渡せる。まさに花浄土だ。

 葉より先に花開くミツバツツジの花色はひときわ鮮やかで、まばゆいばかりだ。「自生林なので数えたことはありませんが、1万株以上あるでしょうね」と友松祐也住職。

 ミツバツツジの根元あたりに目を凝らせばスミレや白、薄紫のイカリソウがそこかしこに咲いている。

境内を彩る花々は山野草を含めて約300種

如意寺 ミツバツツジの開花期、桜やボケ、シャクナゲ、モクレンも見頃を迎え、その後は沙羅、ヤマボウシ、アジサイなどが咲き継ぐ。
秋になればハギ、さらに晩秋は錦の紅葉に彩られる。また本堂の奥の「木洩れ日の小径」(山野草の庭)も見逃せない。
 木道の両側に、多数の山野草が四季折々に花を咲かせる。ミツバツツジの頃ならばミヤマキケマン、イチリンソウ、ニリンソウ、ショウジョウバカマなどが咲き揃う。初夏も秋も多くの山野草が次々と愛らしい花を咲かせる。すべての山野草に名札を立て、清らかに、控えめに咲く花々を大切に守り続けている住職の姿が可憐な花姿に重なり合う。

信仰を集める「日切のお不動さん」

如意寺 如意寺は奈良時代の名僧行基によって開かれた。本尊の十一面観世音菩薩は、行基作と伝えられる秘仏で、眼守護に霊験があるという。本尊会である「千日会」(せんにちえ)は毎年8月9日に一日お参りすれば千日の御利益があるという夏祭り。対岸の兜山の大文字に火が灯され、久美浜湾の灯篭流しや花火大会が行われる。幽玄の夏の一夜である。

 また、弘法大師爪彫と伝えられる日切(ひぎり)不動尊は、日を切って願をかけると必ず叶うといわれ、厄除をはじめ、諸祈願の寺として有名。不動堂は和、唐、天竺の三様式を融合した日本唯一の珍しい重層宝形造(ほうぎょうづくり)。昭和58年に名工中村淳治棟梁(昭和25年より始まった金閣寺再建の初期棟梁)の手により建立された。

ギャラリー

第7番 宝珠山 如意寺(にょいじ)

住  所
電  話
U R L
宗  派
ご 本 尊
拝  観
料  金
交  通


隣接霊場

京都府京丹後市久美浜町1845
0772-82-0163
http://www.nyoiji.com/
高野山真言宗
十一面観世音菩薩
8~17時
200円(志納)
電車=北近畿タンゴ鉄道宮津線久美浜駅下車徒歩15分。またはタクシー3分
車=京都縦貫自動車道与謝・天橋立ICから西へ約35㎞。
  または北近畿豊岡自動車道八鹿氷ノ山ICより35㎞、P100台
車で隆国寺30分、高照寺45分、金剛院80分


花ごよみ

山野草多数
サクラ・ミツバツツジ・シャクナゲ・モクレン・ハナイカダ
ヒラドツツジ
サラ・ヤマボウシ・ヤマアジサイ
アジサイ
サルスベリ
ハギ
紅葉
サザンカ
ウメ
ツバキ・コブシ・マンサク・スイセン

3月下旬~11月下旬
4月上旬~
4月下旬~
5月下旬~
6月下旬~
8月上旬~下旬
9月上旬~下旬
11月上旬~
11月下旬~1月下旬
2月上旬~
3月上旬~


主な行事

初詣(新春護摩祈願、授与品販売、甘酒接待)
星祭厄除祈祷会(諸祈願、甘酒接待)
日切不動尊大祭(柴燈大護摩、花説法)
千日会(本尊会で、花火・灯籠流し・大文字焼きなど町をあげての夏祭)

1月1~3日
節分
4月1日
8月9日


周辺の見所

    豪商稲葉本家 江戸時代からの豪商の屋敷を修理して公開。明治 23年完成の母屋の吹き抜けは圧巻。手作りのぼた餅(6個入700円)が有名。離れの吟松舎が、喫茶・お食事処になっていて、予約無しで昼食可能。車で2分。9~16時、水曜休、無料 電話0772-82-2356
    宗雲寺:臨済宗の古刹、紅葉の名所。車で3分。
    小天橋 久美浜湾の入り口から6㎞にわたる白砂青松の美しい海岸で海水浴場として有名。牡蠣・カニをはじめとする日本海の海の幸を味わえる民宿街あり。温泉も充実。車で8分。小天橋観光協会 電話0772-83-0149
    神谷神社 古代に神を祀った巨岩「磐座」は必見。
    かぶと山公園 麓にキャンプ場があり、山頂(192m)までは遊歩道(徒歩30分)がある。小天橋を一望できる天下の絶景。車で10分。
    レセプション・ガーデン キャンプ場近くのイタリアン・レストラン。絶景でホテルも併設。12〜18時、木曜休 電話0772-83-1284

如意寺周辺マップ



第4番 高源寺

高源寺

深山幽谷の趣をたたえる禅の境地

高源寺 鬱蒼とした樹林の中に、苔むした石段が続く。惣門から山門、仏殿、方丈へと上り詰める間、聞こえるのは風にそよぐ梢の音とせせらぎだけ。

 作家の水上勉は「ここは鬼気せまる禅機がみなぎり、身をおいただけで、胆を洗われる生気があるように思える」と高源寺を表現した。

 高源寺は臨済宗中峰派の本山。中国の杭州天目山で約10年間修行した遠谿祖雄(えんけいそゆう)が正中2年(1325)に天目山に似ているこの地に開山した。翌年には後醍醐天皇から高源寺の号を賜り、永正14年(1517)に後柏原天皇の勅願寺となって末代紫衣の宣旨を受けた。

 しかし、天正年間に織田信長の丹波攻めで建物は全て焼失。現在の建物は江戸時代に再建されたものである。

息をのむほど美しい「丹波のもみじ寺」

高源寺 高源寺は名だたる紅葉の名所。毎年11月になると境内に生い茂るカエデが緋色や茜色に染まり、一帯は燃え立つような景観となる。

 境内のカエデは天目カエデと呼ばれ、遠谿祖雄が天目山より持ち帰って植えたことが始まりである。葉は小ぶりで、切れ込みが深く、枝全体が垂れ下がっているのが特徴といわれる。

 「カエデの一本一本にも個性があり、真っ赤になる木や黄色を帯びた木などがあります。また、年によっても色調が異なりますね。葉っぱが水分を充分に含んでいる朝と、西日に映える夕方が一番きれいです」と、慈しむような表情で山本祖登住職は話す。

春夏秋冬で彩りを変えるカエデと花々

高源寺 山本住職は「4月から5月にかけてのモミジの若葉も命の息吹を感じさせ、夏の緑も涼しげです」と言う。若葉の季節には、白い小花をいっぱいつけるドウダンツツジや、木陰にシャガが咲き連なり、4月下旬から5月中旬にかけては惣門近くの芝生の広場でヒラドツツジが華やかな花姿を見せる。梅雨時ならば、参道の石段や境内の苔の緑が一層深まる。紅葉が終わったあとの静けさも捨てがたい。落ち葉の後はモミジのしなやかな枝ぶりが表れて、枯淡な世界へと変わっていくのである。

 禅寺が無彩色になる1月中旬から3月下旬、ツバキの花がふくよかな春の訪れを告げ、高源寺の花暦の一ページ目を彩る。もみじ寺、高源寺には四季折々の表情を見つける楽しみが潜んでいる。

ギャラリー

第4番 西天目瑞巌山 高源寺(こうげんじ)

住  所
電  話
U R L
宗  派
ご 本 尊
拝  観
料  金
交  通

隣接霊場
そ の 他

兵庫県丹波市青垣町桧倉514
0795-87-5081
http://kougenji-tanba.or.jp/
臨済宗
釈迦如来
9~17時
入山料(300円山開き期間中のみ)
電車=JR福知山線柏原駅からバス50分、桧倉下車徒歩10分
車=舞鶴若狭道春日IC経由北近畿豊岡道青垣ICから約4㎞、P100台
車で高照寺60分、觀音寺60分
丹丘荘(高源寺境内での食事処)は紅葉のシーズンのみ開店 ※精進料理の天目膳は4名以上で予約制(1人4,725円~)


花ごよみ

ドウダンツツジ
ヒラドツツジ
紅葉
ツバキ

4月上旬~5月下旬
5月上旬~
11月上旬~
3月上旬~


主な行事

無縁経大祭並びに寺宝特別公開
山開き

4月29日
11月3日


周辺の見所

    道の駅あおがき お昼のおいでな定食(1100円)は、名物の二八そばに、テンプラや味噌こんにゃくがついてボリュームがある。売り切れ次第終了。8~17時30分(食事は10~16時)、火曜休(祝日の場合は翌日) 電話0795-87-2300
    丹波布伝承館 道の駅あおがきにあり、草木染めの糸を使った丹波布の作品を展示販売する。技術も紹介。車で8分。10~17時、無料、火曜休(祝日の場合は翌日) 電話0795-80-5100
    水分れ公園 表日本と裏日本を分ける分水界がある公園。車で20分。資料館9~17時、200円、月曜休(祝日の場合は翌日) 電話0795-82-5911

高源寺周辺マップ

2012年9月23日 |カテゴリー: | タグ: , , ,
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