第17番 般若寺

般若寺

境内一面にコスモスがそよぐ「コスモス寺」

 奈良坂の古道に沿って立つ般若寺は、いつ訪れても寂寞とした荒涼感が漂い、数多い奈良の古寺の中でも独特の風情を醸し出している寺である。境内は樹木が少ないためか伸びやかで、庶民的で親しみやすい温もりがある。

般若寺 特に9月から10月にかけてコスモスが咲くと、山里の古寺のような和やかさに包まれる。30年ほど前から一隅に植えられていたコスモスが、現在では境内を埋め尽くすほどになり、本堂や石塔を始め、元禄時代作の西国三十三観音の石仏などを取り囲むように咲き乱れる。赤紫やピンク、白などの花々が初秋のそよとの風に頼りなげに揺れる様は、まさに古都の風流韻事。開花期の約1週間だけライトアップされ、闇に浮かぶ幻の花姿に酔いしれる。

平城京の鬼門を守り、学問寺として栄えた

般若寺 般若寺は飛鳥時代に高句麗の僧慧灌(えかん)によって開かれた。天平7年(735)、聖武天皇が平城京の鬼門を守るために『大般若経』を石塔に納めたのが寺名の起こりである。平安の頃には学僧1,000人が集まる学問寺として知られていた。しかし、治承4年(1180)、平家の南都攻めで伽藍はことごとく灰燼に帰した。鎌倉時代、病者や貧者の救済に力を尽くし、福祉の先駆者として名高い叡尊と弟子の忍性によって再興。以後戦国の兵火、江戸の復興、明治の廃仏毀釈と栄枯盛衰を経てきた。

 楼門遺構の日本最古の作例といわれる楼門(国宝)と、総高14.2mもある日本最大の十三重石宝塔(重文)が長い歴史と格の高さを今に伝える。

ヤマブキとアジサイも見応えがある

般若寺 いつ訪れても何らかの花が咲いている般若寺。梅、アセビ、ツバキ、レンギョウと春の花々が咲き継ぐうちに、般若寺の春の代表花、ヤマブキが見頃を迎える。古くから4月25日の文殊会式を彩るヤマブキの名所で、今なお古い築地塀の足元や三十三観音のたおやかな石仏の周りなど、数多くのヤマブキが境内を黄金色に輝かす。

 梅雨空の下のアジサイも楽しみである。そこかしこでアジサイが色付き始める頃、50種・500鉢ほどの鉢植えのアジサイを随所に並べ「富士の瀧」「剣の舞」「七変化」「伊予の盃」など優美な花姿を披露する。

 コスモスが終わり、彩りが寂しくなった冬の境内の片隅でサザンカやスイセンが静かに咲いている。

ギャラリー

第十七番 法性山 般若寺(はんにゃじ)

住  所
電  話
U R L
宗  派
ご 本 尊
拝  観
料  金
交  通

隣接霊場

奈良県奈良市般若寺町211
0742-22-6287
http://www.hannyaji.com/
真言律宗
八字文殊菩薩騎獅像(文殊菩薩)
9~17時
500円
電車=JR・近鉄奈良駅からバス15分、般若寺下車徒歩2分
車=西名阪道天理ICから北へ約10㎞、P60台
車で浄瑠璃寺20分、白毫寺20分、岩船寺20分


花ごよみ

ヤマブキ
アジサイ
コスモス
スイセン

4月中旬~
6月上旬~
10月上旬~
1月上旬~2月上旬


主な行事

中興開山良慧上人忌
文殊会式
非核平和の鐘

3月下旬日曜
4月25日
月6・9日


周辺の見所

    多聞城跡 小高い丘に建つ若草中学校の敷地が、永禄3年(1560)頃に松永久秀が築城した多聞城跡。地形を巧みに利用し近世城郭の先駆だったが、築後14年で織田信長により破壊された。徒歩15分。
    奈良国立博物館 奈良公園内にあり、重厚な欧風建築の本館は重文。仏像美術の収蔵は国内一を誇り、社寺から委託されている文化財も3800点にのぼる。そのうち国宝は173点。秋の正倉院展が有名だが、常設展も見ごたえ充分。車で3分。9時30分~17時、月曜休(祝日の場合は翌日)、500円(平常展) 電話050-5542-8600
    蕎麦の「玄」 奈良町の今西家書院のちょうど裏手にある。石臼でそばの実をひき、つなぎを入れないそば粉100%の味が評判。要予約。日、月曜休 電話0742-27-6868

般若寺周辺マップ

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