「花の寺」

五色椿は3月下旬から赤や白、ピンク、紅白の絞りなど、大輪の花を一本の木に咲かせる。樹齢400年を超し、東大寺の「糊こぼし」、伝香寺の「散り椿」と並んで大和の三名椿と呼ばれている。この名椿が一層冴えるのは、ぽとり、ぽとりと苔の上に落ちる頃。色とりどりの落椿が緑色に映え、しかも美しい花姿を間近にできるからである。

万葉の時代から高円山一帯はハギの花で知られ、万葉集に数多く収められている。9月の彼岸ごろ、土塀と石段に沿ってハギの花枝が延々としだれ咲く様は、万葉人ならずとも心動かされる。また、秋の長雨に打たれ、ほろほろと小花が散る、その風情もまたいい。白毫寺では冬季になるとハギの茎を刈り、それを軸にした毛筆を作る。その銘は「萩のしずく」。なんとも風雅な趣向だ。